(前略)
  
余は太陽雑誌の読者ではないが、太陽雑誌及び記者に対して決して悪意を包蔵するものではない。
太陽雑誌及び記者が四ヶ月の日子(にっし)を費やして、広く私なき投票を募られたのみならず、
十数名の当選者への金盃贈与の計画さえ立てられたのは種々の方面から見て賞賛に価する美挙とは
認めるけれども、以上の理由で、遺憾ながら、余の平生の主義と反するから、折角の光栄を担い
ながら、その記念とも見るべき贈品を受けることが出来ないのを残念に思うのである。
 
(中略) 
 
太陽雑誌の寄贈を受けた後、余は此意見を発表する事の、或は穏当ならざるかを疑った。
又同雑誌に対して礼を欠きはせぬかとも懸念した。けれども是は余の真直な考である。そうして
其真直な考を公にするのが此際一般の為にも自分の為にも善いと信じた。夫(それ)で思いきって、
これを朝日の紙上に載せる事にした。万一此数言が太陽雑誌の所信及び所期に反するのみならず、
同雑誌の折角な計画に寸毫の煩を及ぼすならば余は謹んで同雑誌に対して謝罪する覚悟である。
  
 
                                         おはり